導入事例Implementation example

早番スタッフの負担軽減!業務効率化で人手不足解消へ

外観

石巻市の医療法人社団健育会 介護老人保健施設しおん様は、2024年10月より再加熱カートを使用しての『ニュークックチル』による食事の提供をスタートさせました。配膳機器の入れ替えを行うのは、2012年の開設以来初めてとなります。本部では人手不足を解消するための業務改善、働くスタッフの負担を軽減するための“投資”と考えた上、半年前倒しで導入を決定されました。事業者様にも利用者様にとっても様々な面でプラスになっています。

staff平山美和

Interview

栄養科 科長
管理栄養士
平山 美和様

少人数の家庭的な雰囲気の中、季節の食事を楽しめる施設

施設の紹介を簡単にお願いします。

介護老人保健施設しおんは、震災の翌年の2012年に石巻市吉野町に開設されました。石巻健育会病院、ひまわり在宅サポートグループとの連携のもと、安心・信頼される介護サービスを提供し、住み慣れた地域で皆さまの心豊かな暮らしを支える施設を目指しています。

ご利用者様一人ひとりの尊厳、自立を尊重するため、施設の居室を1 ユニット10 人のグループに分け、それぞれを1つの生活単位とし、少人数の家庭的な雰囲気の中でケア、食事や入浴、施設内の行事などの日常生活を送っております。

チーム医療を推進している法人であるため、医師、看護師、リハビリ、理学療法士、言語聴覚士など多職種のスタッフが在籍。医師、看護師による医療面サポート、セラピスト(PT・OT・ST)による身体機能の維持・向上、嚥下機能・失語の回復、栄養管理士による利用者様それぞれに合った食事の提供など、チームスタッフの全員がそれぞれの専門性を生かしながら、デイケア、訪問リハビリ、長期入所、短期入所の両方の利用者様へきめ細かなケアを提供しています。

当施設では重症の患者様も多いですが、最近では看取りの方も増えてきました。近隣の他施設では受け入れが難しいケースも対応できるのが特徴です。

施設のお隣には復興住宅があり、そこに住んでいる方々へ介護予防教室や健康教室等のイベントのお声がけをするなど、地域を巻き込んで交流することで、地域貢献につながっていると思います。

デイケアスペース

玄関を入ってすぐにデイケアスペース。開放的な空間でレクリエーションやリハビリを行っています。

早番の出勤時間改善。
5時半が7時出社可能に

再加熱カートを導入前の課題と導入後の変化を教えてください。

ご利用者様の食事のご利用は、経管栄養の方を除いて、ほぼ全員。サイクルメニューはしておらず、献立はその日によって変わり、季節に応じたメニューを考えながら提供しています。時には利用者アンケートのリクエストをもとに献立を決定することもあります。「生ものを食べたい」、「カレーを食べたい」など。実はカレーライスが一番人気なのです。

そんな中、毎日違ったメニューで約100人分の朝・昼・晩の食事の用意をするのはやはり大変です。原因は人手不足。求人募集をかけても、なかなか調理スタッフが集まりませんでした。その大きな理由のひとつは、早朝5時半からの早番勤務があることです。

以前は朝出勤して調理することからスタートでしたが、再加熱カートを使用しての『ニュークックチル』を導入してからは、前日の夜に翌朝食の準備が完了するので、朝は再加熱が完了したお食事を断熱カートで運ぶだけ。朝の出勤時間を後ろ倒しにできるようになり、早番の出勤時間が5時半から7時に変わりました。睡眠時間が増えたことが嬉しいですね。普通のかたと同じような時間帯の職場になりました。

5時半出勤となると大体4時起きですし、その分早く帰宅できるとはいえ、車通勤のスタッフがほとんどなので冬場の路面凍結や雪が積もった早朝に出勤しなくてはならなかったので冬場は特に大変です。もう少し人員が増えたら厨房スタッフは7時半出勤でも間に合うくらいの余裕ができそうです。再加熱カートならそれでも朝8:00の朝食提供は可能です。

再加熱完了後はカート部を取り出してそのまま移動でき、女性ひとりでも楽々と運べます。

誰でも簡単で正確に。
タッチパネルのシンプル操作

導入のきっかけ、決め手になったことを教えてください。

ホシザキ東北さんからご提案をいただいた段階では『ニュークックチル』という難しそうな響きの調理法を聞いて、色々と大変な調理なのかなと敬遠していました。

調理スタッフ全員が新しい機材の導入後、操作にすぐに慣れてくれるだろうかと心配はありましたが、ホシザキ東北さんの本社内にあるテストキッチンで実際に『ニュークックチル』で必要となる再加熱カートの操作を教わりながら、実機での再加熱と試食をしてみたところ、想像していた以上に簡単でまたお食事も美味しく温かいことに驚きました。

『誰でも簡単に操作できる』と身をもって知ったことで、本来は2025年4月導入予定が、できるなら早いほうがいいということで半年前倒しになりました。それくらい本部としても魅力を感じていました。

そしていよいよ再加熱カートの設置となったのですが設置自体も事前に電気工事を行った事で、再加熱カート設置も朝9:00から夕方16:00で完了したので当日も厨房を止めることはなく通常通りに稼働することができてよかったです。導入の際は今までのクックサーブのオペレーション自体をニュークックチルへ変更するためのトレーニング期間を設け、少しずつ現場の調理スタッフに慣れてもらうようにしました。このトレーニングもホシザキ東北さんがいつもいてくれて親身になってくれました。メニュー登録などの初期設定はホシザキ東北さんにしていただいたので、あとはタッチパネルを押すだけで、誰でも簡単にすぐに使えるようになりました。

加熱運転・チルド運転ともに確実な温度管理をおこない、HACCPに対応した食事を提供。

Before
After

従来のクックサーブに比べ、ニュークックチルは更に現場のオペレーション負荷を軽減することが可能です。

自前クックチルで大量ストック。計画生産が可能に

導入したことでよかったことを教えてください。

作業が平準化され、昼間に作業時間を集約できるようになりました。以前は朝出勤して調理開始するところから始まっていましたが、『ニュークックチル』は効率的で今までとは全くと言っていいほど違いましたね。介護スタッフが厨房で調理したお食事を各ユニットで盛付し配膳する作業がなくなりましたし、前日の夜に翌朝のお食事の準備が完了しているので、朝は再加熱が完了したお食事を断熱カートで各ユニットへ運ぶだけでいいのでとても楽になりました。

急速冷却でチルド保存する『クックチル』の採用で『加熱調理後最大5日間の冷蔵保管』が可能になりました。食材を前日まで納品から、3日前納品にできるようになり、食材の納品が前倒しできるようになりました。保存しておく冷蔵庫がもっとあれば、さらに多くの食材を作りおきしておくこともできます。
自分達でクックチルしていくので、ご利用者さんが喜んでくれていた今までのメニューも変わらず提供できるのがうれしいです。
シフトを見ながら調理日を計画的に決めることもできるようになりましたね。1~2人の人員で稼働できる日や、全く調理しない日をつくることもできるような画期的なシステムです。電気代は以前より上がりましたが、人件費を削減できた分、充分に採算がとれているように思います。

業界最小スペースを実現。設置場所に困らないコンパクト設計。

介護スタッフの盛付・配膳作業の効率化、
ご利用者様の食への満足度も向上

職員様、ご利用者様からいただいた嬉しいお声があれば教えてください。

厨房スタッフが各ユニットまでお食事を断熱カートで運び、介護スタッフは従来の盛付業務から解放されて、トレイメイク済みのトレイを配膳するだけで良くなり「以前と比べると格段に楽になった」と言っています。

そして、食事を提供する側だけでなく、食事の提供を受ける側にもメリットがありました。盛り付けに時間を要して料理が冷めることがなくなったため、あつあつのままのおいしいお食事を楽しむことができるようになったことと、加熱調理した後に急速冷却するため、食材に味がしみこみ、野菜やお米の甘みが増すなど“2日目のカレー”状態でよりおいしさが増したように感じているご利用者様もいらっしゃいます。味の違いに気付かない方も多いかもしれませんが、逆に言えばいつも通りおいしい味に仕上がっているということ。『おいしさと業務効率化を両方実現できる調理法』と言えるでしょう。

再加熱カートを使用しての『ニュークックチル』は、将来的にも人手不足が続いていく病院、施設の食事、配膳のさまざまな課題を改善することになると思います。もしこれから新しい厨房機材の導入に迷われている病院・施設様がおりましたら、まずは一度ホシザキ東北さんのテストキッチン、展示会に足を運んでみてはいかがでしょうか。

しおん様では、ご利用者様だけでなく、ご家族様、地域の皆様との繋がりを大切にしています。

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